Studio HAIYAMA
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よく焼ける屋根ほど(室内は)涼しい
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専門家でもアレッと思う常識の落とし穴------

 頭の真上から日射が降り注ぐ真夏日の話し。鉄板屋根の家は屋根がよく焼けるので家の中が暑い、その点瓦は・・・との理解というか誤解が、素人、建築士を問わず一般的である。
 そこで質問。真夏日のもと、公園にあるアルミニウムとコンクリートと木のベンチの内、一番熱いのはどれか。座ってみればすぐ分かるというか、熱くて座れないのは木製ベンチであり、次がコンクリート、最も熱くないのはアルミベンチである。日射吸収率が同じとしたら(アルミ表面の日射吸収率は小さいかも)、この順番の根拠となるものは素材の断熱性のみである。
 屋根版の熱貫流が内外の温度差に比例することは常識であるが、一寸知った振りをすると、日射影響下では、外部温度には気温そのものではなく、日射による影響を加味した相当外気温sol-air temperature, SATを想定する必要がある。

但し、
A s :日射吸収率
α0 :外気側の熱伝達率[kcal/uh℃]
t :外気温[℃]
J :日射量[kcal/uhr]
  今、A s=0.6、α0 =20[kcal/uh℃]、t=30℃、J=700[kcal/uhr]を想定すると、
となる。室温を30℃とすると(クーラーを使用しないとしたら、望みうる最善の数値は外気温である)、大変な内外温度差となり、やがて天井表面温度が上昇して室温を引き上げると同時に、輻射熱伝達によって直接中の人を責め立てるようになる。熱貫流のプロセス、すなわち温度勾配を三種の屋根版で試算すると次のとおりである。
        コンクリート
木造+グラスウール
茅葺き
 つまり、天井表面温度が低い高断熱屋根版ほど、外側表面温度も高い。よく焼ける屋根ほど涼しい、というのがものの道理のわけである。内側表面がほぼ室温に等しい茅葺き屋根の涼しさを目標にしたい。なお、表面温度を輻射温度計によって測れば、屋根版の断熱性能は簡単にチェックできる。コンクリート屋根版の暑さは、外断熱を追加することで改善できる。

引用
「エコハウスブック」
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