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002/ 日射エネルギーに関する8章 目次/ 日射エネルギー/クイズ「三つのベンチ」/相当外気温 SAT/ガラス窓の温室効果/コンサバトリー/日射量の計算/屋上緑化の矛盾/単位換算ノート 参考:「エコハウスブック」 |
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1.日射エネルギー | ||||||
住宅の屋根や壁に日射が当たると、一部が吸収されて表面温度を上昇させる。 このとき生じた周囲との温度差が日射のエネルギー活動の源泉である。吸収された日射エネルギーは温度差に応じて外気を温め室内に浸透し、やがて各部温度が上方修正されて平均化する
と活動は終了する。したがって、日射エネルギーの利用(または防御)は、温度差が充分あるうちに行われなくてはならない。 |
昼と夜が温度差を生む |
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2.クイズ「三つのベンチ」 | ||||||
真夏の公園の日差しの中、「木」と「石」と「アルミ」でできた三つのベンチがある。表面温度が一番熱いのはどれか、あなたはどれに座るか。10人中9人がアルミベンチが最も熱く、木のベンチに座りたいと答える。しかし実際は木のベンチが最も熱く、続いて石のベンチ、アルミのベンチは気温を少し上回る程度である。木はよく知られた断熱材、つまり熱が内部そして裏側に浸透しにくいので、表面温度は高いままになる。熱伝導率が高いアルミニウムのベンチの表裏は同じ温度、裏側からも冷却されるので熱くならない。 | ||||||
木のベンチ コンクリートのベンチ アルミニウムのベンチ | ||||||
これらがもし住宅の屋根と考えたら、あなたはどれに住むか。裏側表面温度に注目!公園の鳩は迷わず木のベンチの下で憩う。 *金属屋根のために一言 普通は断熱材と組み合わされて使われるため、住み心地は決して悪くない。ちなみに拙宅の屋根上で70℃を観測、ほぼ垂直に入射する猛烈な日射熱を屋根の表面で食い止めている断熱材の働きに感謝。 |
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3.相当外気温 SAT, Sol-Air Temperature | ||||||
熱伝導率ゼロの理想的断熱材の表面温度を仮想外気温度に想定する。現実の断熱壁の熱伝導率はゼロではないので、表面温度がSATよりやや低く(1℃くらいか)、わずかとはいえ熱の授受が生ずる。断熱効果の大きい屋根、壁の表面温度はおそろしく熱い。屋根が焼けることを悪く言う人が多いが、本当は「よく焼ける屋根がよい屋根」である。 日射を受ける壁面の外気温はSATでイメージする必要がある。SATの定義は次式のとおり。 SAT=To+(As×Js-E×Jn)/Tr To:外気温度℃ As:表面の日射吸収率 Js::日射量Wh/u E:表面の二次輻射率 Jn:表面の二次輻射量Wh/u Tr:物体空気間熱伝達率Wh/u℃ |
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4.ガラス窓の温室効果 | ||||||
日射を防ぐには断熱材を活用すればよい。では日射の取り入れは?もちろんガラス窓、ガラスは太陽光中の赤外線はフリーパス通すが、温まった室内から二次的に放射される遠赤外線(波長の長い赤外線−下図3.0μm以上)は通さない。室内の建材や家具の日射吸収率はそう大きくないので大半の日射は反射光として窓から出てゆくとはいえ、日射はもともとタダ、おおらかな気持ちで活用したい。充分に断熱した金属屋根をガラスで覆ったのがOMソーラー、屋根上で生ずる大きな温度差(60℃プラス程度)が効率的な日射利用(暖房と給湯と)を生む。よりパッシブなアイデア、南面する石かレンガ壁の外にガラス温室を設けたのが、次に述べるイギリスのコンサバトリー型ソーラーハウスである。 | ||||||
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5.コンサバトリーconservatory | ||||||
太陽高度が低い高緯度の国、例えばイギリスでは、屋根より南面壁の日射利用の方が有利、どの家々にもガラス温室(conservatory)があるのでさすがにガーデニングの本場、と思っていたら実は−。 木造住宅の縁側に日射が当たると、一寸と暑すぎて冬でもカーテンを引くようになる。一方、熱容量の大きい石でできた住宅の「縁側」の場合は、日射は床や壁にどんどん吸収されて、昼間の室温はそれほど上昇しない。6時間後には逆、蓄熱された日射熱が室内に放熱されて室温低下を防ぐ。コンサバトリーconservatoryの意味を辞書で引くと「貯蔵庫」とある。語義においても機能的にも転義、転用であろうと思われる。 |
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例題 茶畑の家ver.5のコンサバトリー | クリック→ 茶畑の家 | |||||
南面ガラス窓から入射する終日日射量 6305Wh/u×27u=170000Wh ガラス窓の温室効果を34%と仮定すると(「エコハウスブック」) 終日取得日射量 170000Wh×0.34=57800Wh 3000Wのガスストーブを19時間燃やしたエネルギー量に等しい 問題は、コンクリート床ヒートマスの熱容量がで夜間あるいは翌日にどれだけ持ち越せるか−ということ、表面温度は体温レベルなので暖かさの体感はなく、住まいが冷え込まないことが、コンサバトリーの存在意義です。 |
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コンサバトリーについては新トップページをご覧いただければ幸いです。 | ||||||
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6.日射量の計算 | ||||||
厚い大気の層を通って地上に届く日射エネルギー量は900W/u程度。ちなみにガスストーブの出力は3000W/u〜である。日射は地上、屋根、壁体に斜めに入射するので、この数字にsin、cosが掛かって小さくなる。つまり太陽高度が高いときは屋根面の日射が大きく、低いときは南壁面の日射が大きいので、冬季の省エネは南壁面の日射利用がカギになる。上記「エコハウスブック」には、日射量を求めるエクセルソフトCDが付録としてついています。 |
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水平屋根面の年間終日日射量 | 南壁面の年間終日日射量 | |||||
例題 茶畑の家ver.5のソーラー発電 |
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南面する20゜勾配屋根の冬至期終日日射量 5065Wh/u 屋根面積 120u 発電効率 5% 終日発電量 5065Wh/u×120u×0.05=30390Wh/u 暖房能力3000W(消費電力700W)のエアコンを43時間運転できる発電量(ただし晴天率100%の場合)です。 *「茶畑の家ver.5」は屋根面の日射エネルギー取得量が極大化した形状を持っているので、電力会社の買電協力が得られる限り、電気代はほぼ不要であると思われます。 |
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7.屋上緑化の矛盾 | ||||||
断熱材がよく効いた屋根の上は焦熱地獄。犬が西向きゃ尾は東、屋根の上が熱いから下が涼しいわけ。どうする? 屋上緑化は本来、老朽RC建物の日射防御と都市美化を目的としたエコトレンドではなかったか。断熱不十分な建物では、日射熱は屋根裏−室内に逃げるので、屋上表面はそれほど高温度にならない。植生が無事に繁茂した後は、日射熱は重層する葉の表裏から効率よく放熱されるので、コンクリート表面に到達する日射熱はゼロ、屋上緑化の目的は見事に達成される。問題は充分に外断熱された最近の建物で屋上緑化は可能か、またその必要があるか、ということである。自転車置き場の上屋のように裏からも放熱する屋根の場合は問題なし、OKである。 *「エコハウスブック」では観測データと実験データを掲載しています。 |
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8.単位換算ノート | ||||||
力・仕事・エネルギー単位換算ノート ●仕事率W ワット 1秒間に1ジュールJするの仕事をする割合、仕事率 (J/sec) 1kWの仕事率で1時間にする仕事量を1kWh(キロワット時)という 1kWh=1000W×3600sec=3.6×106J ●仕事量J ジュール 1ニュートンNの力が働いて物体を1m移動させたときの仕事量を1Jという 1J=1Nm ●力 N ニュートン 質量1kgの物体に加速度1m/sec2を与える力(kgm/sec2)を1Nという 毎秒毎秒速度が1m/sec早くなると 10sec後の速度は1m/sec2×10sec=10m/sec 重力の加速度g(ジー)は9.8m/sec2 ●質量mkgの物体がvの速度で移動しているときの運動エネルギーは mv2/2 J (=kgm2/sec2=Nm 、仕事量の単位と同じ) ●質量mkgの物体を高さhだけ持ち上げるに必要な位置のエネルギーは mgh J (=kg×9.8m/sec2×m=9.8 kgm2/sec2=9.8Nm) ●熱エネルギー カロリーとの換算 1cal =4.2 J 1 J =0.24 cal 1 Wh=1J/sec×3600sec=0.24cal/sec×3600sec=864cal=0.86Kcal |
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to be continued | ||||||
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