Studio HAIYAMA
back to study_index
 
007/ 
電熱器で風呂が沸かない理由


 所要エネルギーの計算練習題として、電気で、そして太陽熱で風呂を沸かしてみると意外な事実が−。熱量をカロリーで計算している限り、このような例題すら思いつかない。熱量の単位は今やWhです。




問1.200リットルの浴槽で水温12℃の水道水を42℃まで熱するに必要な熱量を求めよ。
 1リットルの水を1℃上昇するに必要な熱量は1Kcalだから、上記所要熱量は
 1(Kcal/リットル・℃)×200リットル×(42−12)℃=6000Kcal
 1 Wh=0.86Kcal ,1 KWh=.860Kcal なので
 所要熱量=6000Kcal/860(Kcal/KWh)=7KWh・・・それで?

問2.以上の熱量を発する電熱器の出力(1sec当たりの仕事効率)とアンペア(A)を求めよ

 7KWh/h=7KW   (=7000W=7000VA)
 家庭電力は100Vだから
 7000VAI/100V=70A
 壁付きコンセントの容量は15A、それで使える電熱器の出力は1KWプラス(100V×10Aプラス)。したがって、電熱器では絶対に風呂は沸かせません。
 省エネ論議で見過ごされているのが日本人の風呂好き、湯水を湯水のように使いたければユワイターを使え。そこで−

問3.日射量を800Wh/u、ユワイターの器具効率を50%とするとき、以上の風呂をやはり1時間で沸かすには、いくらの広さのユワイターが必要か。
 7000W/400(W/u)=18u
 ・・・3m×6mの巨大なユワイター。貯湯槽を使って時間をかければ(普通はそうしている)小型でも可。

■電力会社のために一言
 電熱器を使ってはダメ、効かない、電気代がもったいない。ヒートポンプを使えば4倍の熱効率が得られ、これなら風呂でも沸きます。電気温水器は今やエコキュート、洗たく乾燥機もようやくヒートポンプ型へ。今後は電熱器暖房にもいくらか利点がある輻射暖房のヒートポンプ化が待たれます。
 P.S.
 ヨーロッパ旅行で安い宿(家庭的な宿)に泊ると、シャワーの熱源は決まって、設備コストの安い電気瞬間湯沸かし器。電圧が200V超なので何とか使いものになります。ただし長々と湯を流すことになるので、必ずしも節電になっていません。
 
*単位換算ノート
力・仕事・エネルギー単位換算ノート
●仕事率W ワット
1秒間に1ジュールJするの仕事をする割合、仕事率 (J/sec)
1kWの仕事率で1時間にする仕事量を1kWh(キロワット時)という
1kWh=1000W×3600sec=3.6×106J
●仕事量J ジュール
1ニュートンNの力が働いて物体を1m移動させたときの仕事量を1Jという
1J=1Nm
●力 N ニュートン
質量1kgの物体に加速度1m/sec2を与える力(kgm/sec2)を1Nという
毎秒毎秒速度が1m/sec早くなると
10sec後の速度は1m/sec2×10sec=10m/sec
重力の加速度g(ジー)は9.8m/sec2
●質量mkgの物体がvの速度で移動しているときの運動エネルギーは
mv2/2 J (=kgm2/sec2=Nm 、仕事量の単位と同じ)
●質量mkgの物体を高さhだけ持ち上げるに必要な位置のエネルギーは
mgh J (=kg×9.8m/sec2×m=9.8 kgm2/sec2=9.8Nm)
●熱エネルギー カロリーとの換算
1cal =4.2 J
1 J =0.24 cal
1 Wh=1J/sec×3600sec=0.24cal/sec×3600sec=864cal=0.86Kcal
/
/
/

line line line line line line line