Studio HAIYAMA
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Prof.ヤグロー先生はえらい
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 昔、建築計画原論の授業でヤグローの有効温度Effective Temp.というのを習ったときは、使い方がよく理解できず、あじの開きに似た図表とヤグローという面白い名前のみを覚えた。その後、人にものを教える立場になってもう一度復習してみた時には、任意の温度、湿度、風速の体感温度を相対湿度100%無風室のそれで代表させてみようというアイデアとそれを実験してしまう行動力に感心したものである。そして最近、エコデザインに入って後に再々度「あじの開き」を見直し、今またつくづく感じ入っている。ヤグロー先生はやっぱりえらい!
 ご存じのように最近の環境工学で新有効温度が主流であり、標準的な人間の快適な空調基準を微に入り細を穿ち定義している。暑ければおしぼりを使い扇風機を回そうという時代物の快適基準など出る幕はなく、ヤグローは名前のみ紹介されている。これらが、計画原論は環境工学となってエコを捨てたといわれる所以であろう。
 釈迦に説法とはおもいつつ、私が感心したポイントを三点ご紹介すると− 

1.乾球温度25℃、湿球温度25℃無風時の体感温度はもちろん25℃である。湿球温度が20℃に低下すると(このときの相対湿度58%−乾湿寒暖計はDIKで500円で売っている)、体感温度は23℃になる。これに風速2m/secが加わると、体感温度はさらに20℃に低下する。図表のこのエリアは、汗ばんだ皮膚は適度の風速を要求するという日本人の経験則を、実に的確に図式化している。おしぼりで汗を清水に変えれば、なお快適である。もちろん、湿度100%のときは風はまったく涼感を呼ばない。

2.気温が体温を超えるゾーンでは(あじのしっぽの辺り)、風が吹くとむしろ暑い。砂漠地域は湿度が極度に低いので、風を避けていても汗は乾き、人は生きていられるのであろう。

3.最近の発見。気温5℃以下のゾーンでは風は体温低下を引き起こす危険要素となり、この場合には乾燥空気の方がむしろ温かい、というところまで、ヤグローの図は面倒を見ている。

環境工学がヤグローを教えないのはよくない、と思いませんか。

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