studio HAIYAMA
    縁側ソーラー・コンサバトリーの研究と設計 
 studio HAIYAMA/一級建築士事務所          
   
 
 
 
 ガラス温室型ソーラーハウスの正統−イギリス伝統住宅のコンサバトリーを、日本の住まいに応用するための実験的(いつも工事中の)ホームページです。
 ご意見、お問い合わせは以下のアドレスにお願いします。
          

  コルチェスター郊外のB&B
 「コンサバトリー付き」をホームページでうたっている、美しいイングリッシュガーデンを備えたB&B。築100年のコテージを美しく改修して自家営業している。
 
            
 
 ■更新記録

 
Chap. 1  コンサバトリーConservatoryって何(2012.12. 1)

 Chap. 2 コンサバトリーの原理(2012.12. 1)
 Chap. 3 コンサバトリーの集熱効率(2012.12. 1)
 Chap. 4 イギリスのコンサバトリー3例(2012.12. 1)
 Chap. 5 コンサバトリーの集熱量・カンタベリーのB&B(2012.12, 7)
 Chap. 6 縁側コンサバトリーの図上実験(2013.1.31)
 Chap. 7 縁側コンサバトリーの床面温度(2013. 3. 29)
 Chap. 8 縁側コンサバトリーの集熱効果(2013. 4. 1)

 
 ■イギリスのコンサバトリー専門業者のホームページを紹介します。
  →
http://www.anewroom.co.uk/
         
    

  Chap. 1 コンサバトリーConservatoryって何 (2012.12. 1)

 
辞書で確認するとConserve は「保存する」、Conservative は「保守的」とある。だからConservatoryは「貯蔵庫」のはず、古い厚い辞書では第一義が「貯蔵庫」で、「ガラス温室」は第二義以下に書かれています。ところが新しい薄い辞書ではConservatoryは「ガラス温室」とのみ書かれ、貯蔵庫は消えている。ことばの意味は時代で変わる、勝負あったようです。インターネットでコンサバトリーを検索すると、イングリッシュガーデンは日本でも大人気のようで、究極のガーデニングアイテムとして、無数の温室キットのホームページがヒットします。
 しかし本家イギリスでは、コンサバトリーの意味が少し違っています。私が何回かの旅行で見た限り(田舎のB&Bに泊れば、イギリスの伝統住宅を体験できます)、コンサバトリーはガラス温室には違いありませんが、リビングルームの増築フロアとして、日本住宅の縁側(広縁か)のように使用されています。住宅の中では最もウレシいスペースであるらしく、泊り客はコンサバトリーで朝食サービスを受けられます。イギリスの石造、レンガ造住宅は、冬はとにかく寒いとか。そこで、南側開口部の外側をもう一度ガラス温室で覆う改築が昔流行った、とのことのようです。辞書の意味通り、日射熱を蓄える貯蔵庫になったわけです。日射を蓄えるには石やレンガの熱容量が肝心で、木造では駄目−ウェールズの著名なエコテーマパークC.A.T.の出版物で、私はこのことを知りました。この本では、保温性能の面から木造住宅を推奨していますが、床だけは厚いコンクリート蓄熱床(ヒートマス)にしたコンサバトリーを、ソーラー暖房の本命に推しています。
 緯度が低く(太陽高度が高く)木造主流の日本住宅において、夏は庇で日射をやり過ごし、冬の住心地が楽め、電気代を節約できるコンサバトリーを導入するにはどうしたらよいか−このホームページでできるだけ簡潔に、お応えしてみたいと思います
。 
C.A.T..
Centre for Alternative Technology 
 出版物は"The Whole House Book"です。
      
 
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  Chap. 2 コンサバトリーの原理 (2012.12. 1)

 
下の木箱の素性は、ガラスの温室効果を利用した太陽熱調理器。太陽の方向に向けると、日射の蓄熱量と壁体とガラスからの貫流(流出)熱量が釣り合うまで、内部温度は上がり続けます。かつての日本の縁側は基本的にこんな風でしたが、長く居るとフライになるので、そうなる前にカーテンやブラインドが閉められ、せっかくの日射が無駄になっていました。しかも日没と同時に冷え始め、夜間は震え上がる寒さ、私の子供の時の勉強部屋が縁側だったので、縁側の暖かさも夜の寒さもよく覚えています。          
レンガとガラス
 
意外と相性が良い新旧素材のツーショット


      
 
   
   
    ではイギリスのコンサバトリーはどこが違うのでしようか。それは元々が石やレンガの建物だったということ。建物自体の熱容量(蓄熱体/ヒートマスと呼ぶ)が昼間の不必要な温度上昇を抑え、その分を夜間に持ち越します。木造住宅の場合は、コンクリート土間床をヒートマスとします。なお、イギリスは日本に比べて太陽高度が低いので、ヒートマスの効果は、入射角度がより直角に近い壁体の方が大きくなります。
 ここで余談を一言、コンクリートで固められた現代の街は住みにくい、昔の木造都市は住みやすかった、との「声」をよく聞きますが、本当?。木は熱しやすく冷めやすい、一方、コンクリートは熱しにくく冷めにくい。だから木造都市の昼間はすばらしい猛暑だったはず、そのときはすだれを低く下ろして薄暗くした室内に身を潜め、日が傾きはじめてから活動開始したのだと思います。
 
    

南中時太陽高度

 春秋分時の太陽高度は90度−緯度、夏至冬至期の太陽高度は-23.5度で求められます。北緯35度の東京の冬至期太陽高度は90-35-23.5=31.5度、北緯52度のロンドンのそれは90-52-23.5=14.5度です。
 
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  Chap. 3 コンサバトリーの集熱効率 (2012.12. 1)

 地球の大気圏外には、1353wh/uh(1時間1u当たりの熱エネルギー)の日射が、常時降り注いでいます。大気の日射透過率は、私の測定結果によれば、真夏の記録的な快晴時で70パーセント、安全をみて65パーセントとすると、垂直入射面の日射量は880wh/uh、実際には入射角が生じるのでsinθがかかってそれ以下となります。ガラス面から入った日射がガラスの温室効果というトラップに引っかかって熱エネルギーの大半を置き去りにする比率(集熱効率)を、太陽熱調理器を使って実験してみました。
 測定日は2012年7月31日正午、雲ひとつない記録的な快晴日でしたが、安全をみて日射透過率0.65を採用します。30度傾斜したガラス窓に当たる日射量は・・・現役の大学教員だった折に卒業研究で作成した日射計算ソフトによると832wh/hu、調理器内の温度変化は以下のとおり、30分後に60度(プラス25度)に達したところで温度上昇が停止しました。このとき、 0.25uのガラス窓から30分間に入った日射量は832×0.25×0.5=104wh。
   



熱エネルギー

 1990年以降、熱量の単位は電力量と同じwhワットアワーに統一されました。
  1kcal=1.16wh,  1wh=0.86kcal


ガラスの温室効果
 波長の短い日射はガラスを透過しますが、室内から二次的に放射される波長の長い輻射光はガラスを透過できず、蓄熱効果が生まれます。

日射計算ソフト"Heat2001"
 広島女学院大学出版物「エコハウスブック・自然となかよくする住まい12章」に添付しています。アマゾンでは古書扱いになっていますので、必要な方はstudio HAIYAMAまでご連絡ください。






エネルギーの変換効率
 
ソーラーパネルで回すエアコンモーターの機械効率も、100%というわけにはゆかず、せいぜい 20パーセント程度。しかし、ヒートポンプ(エアコン)で電力を使う場合は、消費電力の4〜5倍ほどの冷却力、暖房力が得られるので、結局、トータルのエネルギー変換効率としては、ソーラーパネルのそれだけでよいことになります。日射計算ソフトは、屋根の発電量の予測にも使えます。








    
 
   
   なぜ温度上昇が止まったか、それは内外温度差が大きくなるにしたがって壁体ガラスからの貫流熱損失が増え、蓄熱量を相殺したから。つまり温度差25℃時の器具の貫流熱量(Q値)を計算すれば、蓄熱量が分かります。貫流熱量は・・・煩雑かつよく知られた計算なので結果のみ書くと・・・27.63wh、したがって蓄熱量は104-27.63=76.73wh、集熱効率は76.37/104=0.73、73パーセントに達します。
 いわゆるエネルギー変換効率としては破格の数値、ちなみにソーラーパネル(太陽電池)の変換効率は最大20パーセントですから、活用しない手はありません。ではなぜ使われないか、それは太陽の「直火」が暑すぎるからです。プラス25度は冬でも受け入れ難く、普通はカーテン、ブラインドで遮光されてしまいます。そこでヒートマスの登場です。 
 
   
   太陽熱調理器の底にセメントレンガを敷き、1時より測定開始、温度変化の様子は上の図のとおりです。1時間後に最高温度50度、温度差は今度は13.5℃に留まりました。ガラス窓に当たる日射量は831wh/uh(陽が少し傾いた)、1時間にガラス窓に入った日射量は831×0.25×1=207.75wh、蓄熱量は207.75-29.84=177.91wh、集熱効率は177.91/207.75=0.86、実に86パーセントに達しました。コンサバトリー内部にヒートマスを設置すると温度上昇が抑えられ、貫流損失が減って集熱効率も高まる、これがヒートマスの効果です。ヒートマスに蓄えられた熱量はゆっくり放出されて夜間の冷え込みを和らげます。
 
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Chap. 4
イギリスのコンサバトリー3例
(2012.12. 1)

カンタベリーのB&B
 
典型的なレンガ造のカントリーハウス。庭に突き出た角屋(つのや)の本来の用途は、庭を管理し出入りするための下屋であると思われます。向かいの曲がり屋との間にできたくぼみを広大なガラスハウス覆って心機一転、B&Bを開業。郊外の田園に立地するので、コテージを名乗っておられます。角屋はキッチンに改築するのが定番のようです。
 
カンタベリーのB&B
 
アルミニュームの塗装が定番の白ペイン
トではないので少し印象が変わる。むしろ和
風?
  

  
 
   
   
   
 
チチェスターのB&B

 古都Chichesterの外延住宅地に建つ、レンガ造漆喰仕上げのB&B。庭に突き出た角屋(つのや)の横っ腹を切り欠いてキッチンと採光たっぷりのリピンクルームを増築した労作。日常的な居住性を重視している分、全面ガラスハウスとはゆかなかったよう。古い航空写真では、ファサードの左半分は下屋(ガレージ)だった模様。連棟型に改造して2階に夫妻の寝室を確保し、右棟は客室専用にしたということ。建て替えたほうが早い、と考えないところがすごい−というか、建て替えたら唯の安ホテル、誰も泊らなくなるのでは? 
連棟型のファサード
 
 
  
 
   
 
コルチェスターのB&B

 トビラ写真のコンサバトリー。小ぶりなものを外付けしており、ガーデニングを鑑賞するティールームの趣。本来はしっくい塗りの外壁仕上げを、コテージらしく部分的に羽目板に改修している。フランス窓の向こうが客用リビング・ダイニングルーム。室温を上げると言うよりは、窓辺を温めるレベルの改築といえます。実は私もこれよりもちょっと小ぶりなコンサバトリーを自宅の二階南面に設置していますが、眺めて楽しめるものは特になく、・・・物干場として使っています。

キッチンもコンサバトリーで増築
 
レンガ造住宅の固いプランも、こうすれば柔らかくなる。

 
 
      
   
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  Chap. 5 コンサバトリーの集熱量・カンタベリーのB&B (2012.12, 7)

 上の3例のうち、最も本格的なカンタベリーのB&Bのコンサバトリーについて、冬至期12月20日の集熱量を計算してみます。グーグルの航空写真から屋根伏図を描き起こしてみると、下図のとおりです。別荘はともかく、住宅は街並に沿って建つので、コンサバトリーは必ずしも南面とはゆかず70°も東向き、"Heat2001"で調べてみると、8時15分ころの日の出と同時に(田園地域なので全然建て詰まっていません)、猛烈な日射がコンサバトリーの窓面から入射します。以後、時刻が下るにしたがって入射の比重は窓から屋根へ、しかし午後1時以降は建物の影が屋根に落ちるようになり、また日没(午後3時45分ころ)も近いので、日射の算入は打ちきりとします。 
 
    
   ロンドン−カンタベリーの南中時の太陽高度はわずか14.6°、東京−広島のそれの半分以下です。東側にコンサバトリーを設けたのは、宿泊客に庭の眺めを提供するため。南側の本来あるべき場所に付設されたコンサバトリーは、主人夫婦のエリアです。  
  窓面からの日射取得量
 Heat2001を使って、日の出から午後1時までの単位面積当たり累積日射量を求めると、2262wh/uと出ました。窓面積を2.7m(高さ)×5m(巾)=13.5uとすると、窓面からの1日当たりの取得熱量は2262wh/u×13.5u=30537whとなります。
屋根面からの日射取得量
 Heat2001を使って、日の出から午後1時までの単位面積当たり累積日射量を求めると、1242wh/uと出ました。窓面積を3.2m(奥行き)×5m(巾)=16uとすると、窓面からの1日当たりの取得熱量は1242wh/u×16u=19872whとなります。
合計
 (30537wh+19872wh)×0.86=43351wh
 この数字をどう見ればいい?私は手元にある8〜12畳用ガスストーブ、発熱量6000wh/hに換算してみて考えることにしています。
 43351wh/6000wh/h=7.2h
 発熱量6000wh/hのガスストーブを7.2時間運転相当の熱量が得られる(もちろん晴天ならば)−ということになります。室内の仕上げはすべて石、レンガなので、日射による即効的な発熱体は皆無、暖かいというより冷え込まないのがガラスハウスの温室効果、マントルピースからの輻射熱で暖をとるイギリス風の過ごし方とのセットで、このコンサバトリーは機能しているのだといえます。
■もしも正しく南面していたら?
 このコンサバトリーが正しく南面していたら、日射取得量をいくら見込めるか、試算してみましょう。Heat2001の方位角をゼロにすると、窓の単位面積当たり累積日射量は5371wh/u、窓面積をかけると5371wh/u×13.5u=72509wh、屋根の単位面積当たり累積日射量は2010wh/u、屋根面積をかけると2010wh/u×16u=32160wh、合計日射取得量は(72509wh+32160wh)t×0.86=91750whとなります。これをガスストーブに換算すると91750wh/6000wh/h=15hと相当運転時間は2倍、コンサバトリーの設置はやはり南面がベストのようです。 

2262wh/u

Heat2001へクリック

1242wh/u
Heat2001
へクリック
 
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  Chap.6  縁側コンサバトリーの図上実験 (2013. 1, 31)

 緯度の高いイギリスのコンサバトリーをそのままのかたちで日本に移築すると、夏期には暑すぎて使いものにならない。北緯35°での夏期南中高度は78.5°、ほとんど垂直に地面に入射して、猛暑をもたらす。しかし太陽高度が高いということは、庇で簡単に遮ることもできるということ、つまり以前の伝統住宅に必ずそなわっていた縁側が、日本向きのコンサバトリー、ということになります。但し床はフローリングではなく粗面タイル、あるいはレンガを張ったコンクリート土間とすること。出来上がり予想図は以下のとおり、奥行き2mの広縁で効果を計算してみることにします。

日本
 北緯35°(広島−東京ライン)を想定しています
 
      
  縁側住宅のプラン
 平安絵巻に描かれた宮殿の縁側、時代劇TVで観る武士の役宅の縁側など伝統的日本住宅の縁側は、採光窓を兼ねた通路専用のスペースで、通行を妨げるしつらえは無理、第一、昼間は雨戸を仕舞っただけの吹きさらしでした。今日私たちが思い浮かべる、例えば忠犬ハチ公が大学教授のご主人さまにノミを捕ってもらった縁側は、板ガラスが普及し始めた大正期のそれ。北側に廊下が設けられて縁側は通路の役割から解放され、特に役目がないだけに何でもできた、今考えると夢のようなスペースに進化(退化?)していました。ではその縁側はどこに行ったのか。私の観察では、今どの家でもあるフローリング張りの、ちょっとだらしないリビングルームこそ、縁側が広縁に進化し、その後に発展的に解消した「歴史的成果」であろうかと思われます。したがって面積増無しで縁側の復活を目指す場合、プランの考え方を少し変える(以前に戻す)必要が生じます。要点は次の二つ
 1.道路方位によらず正しく南面させて住宅を配置できるかどうか、
 2.南側採光面から出入りする開放的なプランを納得するかどうか。階段も縁側の中に配置すると、プランにより高い説得力が生まれます。
 ワンルーム型ソーラーハウスのパイオニア、OMソーラーのプランを参考に設計図を引いてみると、次のようになります。
 

忠犬ハチ公の縁側

 
 
 
  断面図
 庭に陽が当たる隣棟間隔は12メートル、OMソーラーが住宅地の建て詰まりを見て縁側を屋根に移築した理由が、よくわかります。しかし今や郊外住宅地は空き家だらけ、そろそろ縁側が復活する時期ではないでしょうか。
 設計例では窓の高さは3メートル、リビングルームの奥まで直射が届くので、家具が痛まないよう、瞬間的に室温を上げた後でブラインド(ペーパープリーツカーテンがグッド)で日射を調整します。下図のコンクリート蓄熱体(発泡スチロールで断熱します)の厚みはアバウト、表面温度の「好み」を設定した後で厚みを決めます。

   
   
  平面図(プラン)
 建物を正しく南面させると、敷地は必ずしも南北に平行していないので建物の周辺に空きが生まれ、同時にたくさんの設計上のヒントが生まれます。この設計案では、総二階プランの硬さを下屋で補ない、更にキッチンとバスルームはガラス屋根を葺いてアトリエ仕立てとし、南側縁側では得られなかった空への解放感を演出しています。

アトリエ仕立のキッチン(後述)
 
夏期の朝夕には直射が当たりますが、太陽高度が低いので下に降りてくることはありません。
 
   
  北向きコンサバトリー?/アトリエ仕立てのキッチン (2013. 3. 17)
 北向きの下屋に設けたキッチンの屋根をガラスで葺くと、ちょうど画家のアトリエのように、天空光のみ入って日射が入らないキッチンアトリエが得られます。下図の壁面上部に当たった日射は、夏至夕刻時に、北側に回り込んだ太陽からの日射を描いたものです。
    
    
     
      
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  Chap.7 縁側コンサバトリーの床面温度 (2013. 3, 29) 

 Chap.6の設計例を使ってコンサバトリーの集熱効果を予測してみます。昔の日本住宅の縁側に相当する窓際スペース(平面図のチェックの部分です)の床仕上げを、表面に日射吸収率の高いコンクリート土間(粗面タイル貼り)とした場合、表面温度をどのくらいコントロールできるのか−その前に、床がフローリング仕上げの場合、表面温度はどこまで上がるのか−試算してみました。    
 
   
 
フローリング(松)の床面温度(12月20日冬至期、以下同じ)

 データブックで松板フローリングの容積比熱(蓄熱効果に当たる)を調べると452Wh/m3k 、これに床面積1u当たりの容積を乗じると熱容量(蓄熱量)が求められます。その数値は以下のコンクリート土間に比べて圧倒的に小さく、日射吸収率が低いツルピカ表面であるにもかかわらず表面温度はウナギ登り、正午1時間の温度上昇分は20℃、日没までの累積温度上昇は127℃にも達します!もちろんこれは架空の温度、実際には温度差に比例して室内に放熱され、室温がどんどん上がり、フローリングの温度は抑えられます−とはいえ居住には不適、住み手はフライになる前にブラインドを下ろすはずです。
*熱容量は床面積1u当たりです。



放熱

 室内空気への熱伝達と人体やものを直接温めるふく射の二経路から放熱されます。
 
     
   
温度上昇の最高値と、その時刻です。




板を厚くすれば熱容量が増えて温度上昇は抑えられるのか−実は木材は優秀な断熱材なので、表面温度は内部へ浸透せず、厚みに関係なく熱容量はごく微小のままです。 
 
コンクリート土間床の表面温度

 日射を受ける床が粗面タイルを張ったコンクリート土間だったら、表面温度はどう推移するか−土間の厚さ10cm、20cm、30cmの三種について、計算結果を一気にご紹介します。 
    
 
コンクリート厚10cm(0.1m)の場合

 べた基礎までのすき間を発泡スチロールで底上げして厚さ10cmのヒートマスを設定します。コンクリートの容積比熱は木材のそれより少し大きいだけですが、容積が大きいぶん温度上昇はマイルド、室内空気を温める温度差もありますから、昼も夜も快適な室温が保てると思います。
   
 
 
 
 
コンクリートと松板の容積比熱はそれほど違わない。両者の熱容量を大きく隔てるものは圧倒的な重量差、それとヒートマスとして機能するために必要な、コンクリートの熱伝導率の高さです。

参考
木材の熱伝導率 
  0.15〜0.25Wh/mK
コンクリートの熱伝導率
  1.6Wh/mk

  m: 厚さ1m当たり
:
 
  コンクリート厚20cmの場合 
 断熱用に敷いた発泡スチロールを薄くして、コンクリートの厚さを20cmに増やしてみます。熱容量が2倍になると、温度上昇は半分になるわけですね。室温との温度差が小さくなる分冷めにくく、つまり室温を温めにくくなっています。
   
 
 
 







 室温を温めるというよりは夜間の冷え込み防ぐ、というソーラーハウスの本来の役割を目標にするならばコレ。

 
 
コンクリート厚30cmの場合

 ヒートマスも大き過ぎると効果半減、火持ちはよいけど温かくないカイロを思い出します。
   
 








 
 
結論

 温感と火持ちの両立を考慮して、コンクリート厚15cmをベストと結論することにします。本当のところはやってみないと分からないこと、ぜひお試しください。
 

    
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  Chap.8 縁側コンサバトリーの集熱効果 (2013. 4, 1) 

 ガラス窓の温室効果−日射取得率0,86を使って、設計例コンサバトリーの集熱効果を試算してみましょう。設計例の窓高は3mですが、フルに日射を採り込むと縁側巾を超えて入射してしまい、ソファーを傷めたりしますので、1mブラインドを下ろした計算例も載せてみました。日射取得量の単位Whは実感が伴わないので、例によって出力4000Wh/hのガスストーブで換算してみました。快晴時の場合、ブラインドを1m下ろしてもガスストーブを15時間運転した(あるいは15台を1時間運転した)だけの熱量が、タダで得られることが分かります。
 

 
    
   
     
 
 Chap.5から続けてきた設計例を使ったスタディーは、一応これで終わります。「もしも晴天だったら」とか随分仮定が多い話で恐縮でしたが、特に設備費をかけていないパッシブソーラーですから(ヒートマスと言ってもただの土間コンクリートだったわけですから)、少々の見込み違いはご容赦願います

 
    
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(以下工事中)
 
 
 

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